はじめに
- 「ダイエットしているのに体重が落ちない」
- 「どうしたら痩せるのか分からない」
- 間食がやめられない
- 「運動や筋トレしているのに体重が落ちない」
- 「やせてもリバウンドしてしまう」
- 「膝が悪いので、主治医に痩せるようにといわれたが、運動は辛くてできない」
こんな悩みを持っている人、少なくないですよね。
その一番の理由は、「栄養と代謝の正しい情報を得られない」ことにつきます。
患者さんを指導する立場にある医師でさえ同じです。
学生時代に大学では栄養についての講義の時間はほとんどありませんでした。
ほかにも学ぶべきことが多すぎて、じっくり勉強する余裕はないのが実情です。
ですから、特に栄養や代謝に関心のない医師に、痩せるための正しいアドバイスを求めても無理というものです。
その指導を行う医師がメタボだったりしますから。
正しい知識がない状態なら、自分流でダイエットしても上手くいかないし、運動や筋トレをしているのに体重が落ちない、痩せるというサプリを試したがダメだった、などということになるのは当然です。
ここでは、ダイエットに関する間違った考え方と、痩せるための正しい行動について栄養と代謝の観点から解説します。
そして最後に具体策について提案します。

1.「カロリーを制限すればやせる」と思っている
- 「そんなに食べないんだけど、痩せないんです」
- 「ダイエットを始めたのに、全然効果がない」
- 「揚げ物など油ものを減らしているけど、体重が減らない」
など、嘆きのような言葉をよく耳にします。
どれだけ食べるかよりも何を食べるかが重要
これまでよりトータルのカロリーを低くすれば痩せるというのは大きな間違いです。
実は、何を食べるかによってそのあとの脂肪のつき方や食行動の変化が大きく変わってくることが分かっています。
「何を食べるか」が重要であって、それと比較すると「量をどのくらい食べるか」は、実は大した問題ではありません。
“A Calorie is a Calorie.” (どの食べ物で摂ろうがカロリーは同じ働きをする)
は間違った考え方であり、
「果糖中毒」(原題「Fat Chance」:ロバート・H・ラスティグ 著)
“A Calorie is Not a Calorie.” (カロリーはどれでも同じ働きをするわけではない)
が真理です。
例えば、同じ炭水化物でも砂糖にまみれたドーナッツを食べた場合と麦ご飯のおにぎりを食べた場合ではその後の空腹感が全く異なります。
一緒に摂る飲み物に関しても、砂糖たっぷりの炭酸飲料とお茶では実はお茶の方がお腹は空かないんです。
砂糖たっぷりの甘い食べ物や飲み物を食べた直後の幸福感は大きいのですが、またすぐにお腹が空いて食べたくなりますし、まだまだ飲みたくなります。
砂糖入りのお菓子や飲み物は、血糖の上昇のスピードが速い分、そのあとの血糖の下がり方も速く、血糖が急降下するときに、お腹がめちゃくちゃ減ってくるのです。
その際に働いているのがインスリンです。
鍵は「インスリン」のはたらき
インスリンは肝臓や筋肉にぶどう糖を取り込ませて上がりすぎた血糖を下げる働きがあります。
しかし、困ったことにこのインスリンには、脂肪を合成して細胞内に蓄える働きがあるのです。
血糖が急激に上がったり下がったりする現象は、「血糖値スパイク」と呼ばれ、間食したり食べ過ぎたりする良くない食行動につながったり、血中のインスリン濃度が高くなる(高インスリン血症)ため脂肪がつきやすくなるなどの悪い影響をおよぼします。
うどんはカロリーはそれほどないので太らないという説もウソです。
カロリーで考えてはだめ。
主食にうどん、菓子パン、白米のように血糖の急激な上昇と、インスリンの過剰分泌を促すものばかりを食べていると、糖尿病になりやすく、しかも太りやすいのです。
そして、結果として間食や食べ過ぎなど太りやすい食行動につながり、脂肪を蓄えるホルモン「インスリン」が働きやすくなるため、できるだけ避けるのが賢明です。
痩せるためには、単純に「カロリーを制限すれば良い」というのは誤った考えであり、同じカロリーでも「血糖を急上昇させない食事を摂る」のが重要なのです。

2.太らないように低脂肪を心がけている
「低脂肪」「ノンオイル」なら太らないは本当か?
「脂肪を摂るとそれがそのまま脂肪細胞にとりこまれて脂肪として蓄えられる」
そんなイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか?
「低脂肪」とか「ノンオイル」とか、健康に留意している人が実践している食事のようなイメージですが、実は期待したほど結果に結びつかないダイエットの代表です。
- 健康のため「低脂肪」という製品を買っている
- 健康のため、ドレッシングはノンオイルを選ぶようにしている
- 低脂肪のお菓子やパンを食べている
ここには大きな落とし穴があります。低脂肪やノンオイルの製品は、バランスが悪いためそのままではおいしさがなくなったり、物足りなさが残りやすいものです。
そのために、砂糖や異性化糖(果糖ぶどう糖液糖など)の糖類や食感を改善したりする目的で種々の添加物を加えることになります。
砂糖類を加えると何でもおいしくなります。人間の舌はそのようにできているので、簡単に騙されてしまうのです。
そうして、オイルが少ないからとどんどん摂取してしまい、結果としてかえって太りやすいという結果に繋がります。
むしろ、良質の脂質をしっかりとって、何でも必要以上においしくする砂糖や果糖を控えることが重要です。
なぜなら、脂質はインスリンの分泌を誘導しにくいため、それだけではむしろ太りにくいのです。
痩せたいのなら、野菜にノンオイルドレッシングをたっぷりかけるのは間違い。
〝良質の〟エクストラバージンオリーブオイルやアマニ油と、お酢、レモン汁、塩、ハーブ等で、自家製ドレッシングをその都度少量作るのが一番です。
口から入った脂肪はどのように代謝されるのか
脂肪(主に中性脂肪)は実際、消化管内で胆汁酸によってバラバラにされた後、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールという形に分解されます。
これらは小腸の粘膜から吸収された後、細胞内で再び中性脂肪に再合成されます。
中性脂肪の多くは、コレステロール分子などとともにアポ蛋白にくっついてキロミクロン(Chylomicron)という粒子になって小腸からリンパ管に放出され、胸管という太いリンパ管を経て頚部の太い静脈(静脈角)に注ぎ、全身に運ばれていきます。
キロミクロンの脂肪酸は、当然のことながら脂肪組織にも運ばれるほか、心臓、筋肉でエネルギーとして代謝され、肝臓に運ばれるのは約20%程度と言われています。
脂肪酸の炭素の鎖の長さが比較的短いもの(短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸)はそのまま門脈内に入って肝臓に運ばれます。
そしてこれらはケトン体に変換されて、エネルギーに変わりやすいので太りにくいといえます。
以上のように、脂肪(中性脂肪)は、消化吸収されてそのまますべて体脂肪になるのではありません。
しかも脂質そのものは糖質のようにインスリンを誘導しないので、インスリンによる脂肪の増加は来しません。
以上のように、「脂肪を摂ると太る(= 体脂肪が付きやすい)」という考えは間違いなのです。
血糖を上昇させやすい糖質の摂取を控えて、エネルギーとして利用されやすいMCT(中鎖脂肪酸)オイルを積極的に取るのは理にかなった方法です。

3.食事の回数を増やしたほうが痩せると信じている
一日2食より3〜4食たべた方が痩せるは本当か?
太らないためには朝昼晩3食きっちり食べるのがよいという説があります。
1日2食以下にすると、「脳がエネルギーをより多く摂取したいと考えて1回の摂取量が過剰になりやすく、蓄えのために脂肪に変換されやすい」というものです。
一日2食の力士が太っているはその典型であるというのは、一見その説を支持しているように見えますよね。
それならば、1回の食事量を減らして、間食を含めた食事の回数を増やしても良いということになります。
しかし、これはからだの生化学を無視した考えです。
力士は、食事の回数が2回だから太るのではなく、トレーニングをしながら成人の4〜5倍のカロリーを摂取しているから身体が大きいのです。
実際、細胞内への脂肪などエネルギーの取り込み、脂肪細胞の増大を促進するのは主にインスリンによる作用です。
ですから、インスリンの分泌を増やす食行動は肥満につながります。
食事の量をコントロールできれば、〝痩せるためには〟食事の回数は少ない方がいいし、間食もしないほうがいいはずです。
要は、痩せるためには「食事回数を増やすこと」が重要なのではなく、「インスリン値が高くならないようにする」ことが大切なのです。
食物を1日3食たべるのは良いとしても、血糖の上がりやすい(インスリンの上昇を来す)食物ばかりたべていては決して痩せることは出来ません。

お腹が空いたらがまんできない:間食の軽視
朝食や昼食に血糖が上がりやすくなる、パンや白ご飯、うどんなどの麺類を食べると、すぐに血糖が急降下して、眠気やだるさが襲ってきます。
10時や3時ごろにお茶して間食で血糖を回復させると、すっきり元気が出るように感じます。
これではインスリンレベルが下がる暇がありませんから、これで痩せられるはずがないのです。
現代社会は、コンビニなどの小売店で、「安くて」「便利で」「おいしい」ものを「手軽に」買える環境にあります。
そこで我慢が必要になる環境で働いている人はまだ良いとして、デスクの引き出しの中にちょっとした甘いお菓子がストックしてあったりしたら、ふつう我慢するのは困難ですよね。
主婦ならば、とっておきのスイーツが冷蔵庫に保管してあったり、買い置きしておいスナックやまんじゅうが常備してあったりしませんか?
営業の移動中に、スポーツドリンクや甘い缶コーヒーなどを飲む習慣はありませんか?
健康のためにと、野菜ジュースや果物ジュース、栄養ドリンクを習慣的に飲んではいませんか?
これらは、すべて太る習慣です。
普通に食事をしていて「お腹が空くということは、血糖の上がり下がりが激しい証拠」だと思って差し支えありません。
ましてや、砂糖を含んだ甘いものを間食として摂っているようならば、インスリン値が下がる暇なく、せっせと肝細胞や脂肪細胞に脂質が蓄えられることになります。
間食には、饅頭やビスケット、チョコレート、ドーナツなど「甘いもの」が少なくありません。
どうしてもお腹が空いたときに食べると良いのは、低糖質のナッツ類です。
アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、カシューナッツなどは、糖質が少ないので、小腹を満たすにはもってこいです。
特にクルミはω-3系の良質の脂質(α-リノレン酸)を多く含むのでおすすめです(もちろん食べ過ぎは禁物です)。
そのような商品も売っていますので、購入してみるのも良いかと思います。
「甘いものを摂ると疲れが取れる」とか、「頑張った自分へのご褒美」等と称して、間食していると、どんなに運動をしても、食事量を減らしてもなかなか痩せられません。
まず第一は、間食が欲しくなるような食事(血糖の急上昇を招く食事)を避けること、身の回りに間食につながるようなものを置かない環境を作ることです。

4.運動や筋トレの効果に期待しすぎている
運動だけでは期待したほどカロリーは燃えない
- 「毎日腹筋をしているのに痩せない」
- 「がんばって走っているのに痩せない」
- 「毎日のようにランニングしているのに効果がない」
ある市販のポテトチップ1袋60gのカロリーは、336 kcalです。
体重60 kgの人が、4 kmを約30分間でランニングするとき(時速 8.3 km:約9 メッツ)に消費するカロリーは、約280 kcalです。(消費カロリー = 体重 × 時間 × メッツ × 1.05)
つまり、せっかく30分間走る運動をしても、ポテトチップ1袋を食べたら、カロリーを消費しきれずに太ってしまうということです。
運動は筋肉量を維持し、代謝を高め、インスリンの効きを良くするという意味でとても重要ですが、食行動を変えずに運動だけで痩せようとするのはなかなか難しいといえます。
適度な運動をしても、食欲が増したり、お菓子やスポーツ飲料などのご褒美が増えたりしたら、全くダイエット効果は期待できません。
運動を否定するものではありませんが、食事の内容を変えずに運動だけで痩せると、運動を止めた途端、間違いなくリバウンドしてしまいます。
筋トレにより筋肉を増やすのは、代謝を上げる意味でも合理的ですが、筋肉量を増やすのは一朝一夕にはできません。
ダイエット目的で長期間トレーニングを継続するのは、かなりのモチベーションと根気が必要であり、効果がすぐに実感できないので挫折する危険が高いといえます、
痩せるためには食の見直しが最も大切であり、運動がそれをサポートするものと心得ましょう。

5.GI値を過信している
低GI食品は太りにくいは本当か?
「GI値(Glycemic Index :グリセミック指数)」とは、摂取後の血糖値の上昇のしかたを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表したものです。
これは、炭水化物50gあたりの血糖値の変化から算出します。GI値が低いものほど血糖の上昇は穏やかで、100に近いものほど血糖値が急激に上昇しやすいことを示しています。
血糖が上昇しやすい食物はすぐにお腹が減りやすく太りやすい、血糖上昇が穏やかなものは腹持ちが良く太りにくいというのは本当です。
ですから前述の通り血糖の上昇しにくい低GIの食品を選んで食べれば太りにくいというのは、ある意味真実ですが、別の観点から注意が必要です。
白米やコーンフレーク、パンなおはGI値75〜95で、もちろん高GIです。
一方、果物やシロップ類に含まれる「果糖」のGI値は、20〜30であり、血糖の上昇をきたしにくい低GIの甘味料の代表のようにいわれることもあります。
野菜、果物、ナッツなどはGI値55以下であり、低GI値の代表です。
一方、砂糖の主成分であるショ糖のGI値は60前後で意外に高くないのです。
ここに落とし穴あります。
ショ糖はブドウ糖と果糖が一分子ずつ結合した二糖類であり、消化管内で分解されてブドウ糖と果糖として吸収されます。
したがって、ショ糖50gの真のブドウ糖の量は25gに過ぎないことになります。
GI値は果糖による身体への影響は加味されないのです。
「果糖」は低GIながら太りやすい!
ブドウ糖が全身の臓器組織で代謝されるのに対して、果糖を代謝できるのは肝臓のみであり、そのほとんどはブドウ糖に変換されるよりも、脂肪酸や中性脂肪の合成につながります。
果糖は非常に甘く、例外なく脂質に代謝される。これが悪者ナンバーワンだ(悪者はほかにもいる)。果糖は、この厄介な物語において、あなたをダークサイドに引きずり込もうと手ぐすねひいている、肥満帝国のダース・ベイダーだ。
『果糖中毒』(原題『Fat Chance』:ロバート・H・ラスティグ 著)
しかも、摂取後に満腹中枢を抑制しにくいためお腹が空きやすく、依存性が高くまたすぐに欲しくなるため、止められません。そしてこの悪循環が気づかないうちに進行してしまいます。
アルコールは飲まなくても、万病のもとである脂肪肝の原因になります。(脂肪肝に関しては別の記事〝脂肪肝の原因は○○だった! 脂肪肝はこうすれば必ず治る〟も参考にしてください)
もちろん、果糖を多く含む果物ジュースや異性化糖(果糖ぶどう糖液糖)を使用した食品も同様です。
天然成分由来であるから、健康に良いとは限りません。
低GIであることを理由に健康効果を謳った「アガベシロップ」は、確かに血糖の上昇は穏やかですが、実はその主成分が果糖であることに留意する必要があります。
メープルシロップの主成分はショ糖(果糖+ブドウ糖)であり、ハチミツも主成分はショ糖が蜂の体内の酵素で果糖とブドウ糖に分解されたものである以上、GI値は高くなくても、摂りすぎると果糖による悪影響が現れる危険性があります。
GI値を過信すると、血液中のブドウ糖の値への影響は小さく見えますが、すぐにお腹が空いて次の摂食行動につながりやすくなり、決して痩せることにはつながらないのです。
必要なのは、GIを過信するのではなく、糖質の上昇を穏やかにする食物線維をしっかり摂ることです。
痩せたければ、砂糖、異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)などが添加された加工食品、フルーツジュースは、絶対に避けなければなりません。

「あんなにおいしいものを食べたらいけないの?」 「それなら死んだほうがまし!」 そう思ったのなら次の記事まで読んでみてください。

6.おいしいものを食べることが「幸せ」と思い込んでいる
- 「めちゃうま」「激うま」
- 「おいしくてほっぺが落ちそう」
- 「リピートしたくなるおいしさ」
- 「お取り寄せしてもたべたい」
- 「最高においしい」
こんな感想を持たれる食べ物は、危険といってまちがいありません。
これらは中毒(addiction:正確には「嗜癖」)の症状だからです。
「おいしいもの」の氾濫が体重増加の原因
ついつい食べたくなる「おいしいもの」の代表はスイーツです。ケーキやドーナッツ、まんじゅう、クッキー、チョコレート菓子など。
小麦製品:パン、ピザ、たこ焼き、ジャンクフード
麺類全般:ラーメン、うどん、パスタなど
飲み物は、コーラ、サイダーなどの炭酸飲料、缶コーヒー、フルーツジュース、スポーツドリンク。
これらはみんな、中毒を起こします。そして、どれも身体にはよくないものばかりなのに、毎日のように、際限なく食べたり飲んだりされています。
多くの現代人にとって、このおいしいものたちは、太る原因かなと気付いていたとしても、もはや止めることは出来ないほど身近な存在になってしまいました。
脳内の伝達物質が依存症、中毒性の原因
「めっちゃ、おいしい!」と思った瞬間、脳内麻薬のドーパミンという神経伝達物質が放出され、「快感」が脳内を駆け巡るのです。
快楽や快感を感じて脳内のドーパミンが放出されるというのは、タバコやアルコールがやめられず、量が増えていくのと同じです。
厄介なことに、このドーパミンは神経の末端(シナプス)で受容体から取り込まれると、刺激を受けた神経の過度の興奮を抑えるためにその受容体の数を減らします。
受容体の数が減ると、もっと刺激が欲しくなり、また食べたくなるのです。
「やめられない、とまらない」というスナック菓子のキャッチフレーズがありましたね。
これと同じことが、「おいしい」加工食品でも生じているのです。
企業の目的は健康ではなくて「売り上げが伸びる」こと
そう、ビジネスなんです。
企業の目的は、消費者の健康ではなく、売り上げが伸びることです。
そこに気づくことです。
- 「おいしいものを食べられることこそ幸せ」
- 「甘いものは、別腹よ」
と考えてくれる人が増えれば、加工食品メーカーにとってこれほど都合のよいことはありません。
しかし、この考えはダイエットに関して言うと、最悪です。
そうして、健康を害する原因になっています。
先に挙げた炭水化物の虜になると、間違いなく、肥満にとどまらず、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、虚血性心臓病、脳卒中につながります。
そして延いては、がん、認知症を発症してしまうのです。
一方で、「おいしいもの中毒」になって、製品をリピートしてくれれば、売り上げも伸びて、企業業績も向上します。
テレビでは、どの放送局の番組でもおいしいお店の紹介やグルメ番組、料理番組が数多く、いかにもおいしそうな食品やドリンクのコマーシャルが繰り返し流れます。
企業の思惑通り「おいしいもの中毒」が増えたことで、メタボリックシンドロームが増えたのは間違いありません.
しかし、大人気の健康番組でもスポンサー企業の不利益なるようなことは決して報道しません。
「おいしいもの」を追求することは、善であり、私たちの権利であり、自然なことだ!、と思い込まされているのではないか?
一人一人がそんな疑問をもって考えてみることが必要な時代ではないかと思います。

以上、ダイエットが成功しない理由を挙げてみました。
これらをもとに食事の内容を変えれば必ず健康的に痩せると断言できます。
理論的に正しいだけではなく、私自身や家族、担当患者さん、友人の経験で痩せられることは実証済だからです。
脂肪肝を指摘されているのならば、〝脂肪肝の原因は○○だった! 脂肪肝はこうすれば必ず治る〟も参照してください。
すこしでも心当たりがあれば、何か一つでもトライしてみてください。
皆さんのダイエットのお役に立てれば幸いです。
【まとめ】
- カロリーは何を摂っても身体の中で同じ働きではない!痩せるためには何を摂るかが大切
- 脂肪を取るから太るのではなく、むしろ脂肪に変わりやすい糖質の摂り過ぎに注意!
- 間食は、肥満の元であるインスリンの分泌を促し、痩せにくくなる。お腹が空いたら我慢できないのは、食事の内容による
- 運動や筋トレだけで痩せようとするのは困難
- 「GI 値(Glycemic Index :グリセミック指数)」に反映されない、果糖や砂糖こそ肥満の元凶である
- おいしいものを食べることが「幸せ」と思い込まされている。おいしいもの氾濫(中毒)が肥満の原因であり、現代病の増加に繋がっている。
痩せるための食事:具体策を提案
以上をふまえ、最後に具体的にどういう行動をすればよいか、提案しておきます。
- 白米をやめて食物線維豊富な「麦ご飯」にする。
- パン、うどん、ラーメンなどの小麦製品は可能な限り避ける。
- どうしても食べたい時は週1回程度とし、食物線維豊富な野菜サラダや豆類、キノコ類、海藻類をたくさん一緒に摂るように心がける。
- ドレッシングは良質のオイルを用いて手作りにする。
- 砂糖、果糖を含む清涼飲料水、果物ジュース、スポーツドリンク等を避け、水やお茶にする。
- 甘いお菓子など間食を避け、おなかが空いてもクルミやアーモンドを少量(30g程度)にとどめる。