はじめに
禁煙を成功させるには、いくつかのポイントがあります。ここでは7つのステップにして解説していきます。
1.「禁煙する必要性」について強く認識する
たばこは様々な病気の原因になり、既にある病気も悪化させるリスク因子にもなることが知られています。
- 歯科口腔領域:歯槽膿漏などの歯周病、虫歯が増えるなどです。歯が黄色くなるだけではなく、歯を失い、歯周病菌の放出する毒素などにより心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
- 呼吸器疾患:肺がん以外にも、肺気腫(肺の構造が壊れて膨らみ過ぎる病気)、喘息、肺炎などのリスクが高まります。
- がん:口腔がん、食道がん、肺がん、胃がん、大腸がんなど、数多くのがんがタバコと関連があります。
- 循環器疾患:脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)、心筋梗塞など動脈硬化の進行に伴う疾病の発症リスクが高まります。
- 母体・赤ちゃんへの影響:死産・早産・自然流産、低出生体重、先天奇形、新生児突然死症候群など
- その他:2型糖尿病、慢性関節リウマチなど
言い尽くされていることですが、軽視してしまいがちです。
これらはネットで調べればいくらでも出て来ます。しかし、禁煙するのは意味がないなどと自分に都合のいい情報だけを信じたり、自分はタバコで病気にならない体質だとか根拠のない思い込みをしてしまわない様にしなければいけません。(「認知的不協和」)
そして、自分だけではなく副流煙として周囲に迷惑をかけている可能性があります。副流煙は、愛する家族の健康にも影響します。そして自分が認識している以上に、周囲のひとはタバコの臭いに敏感になっていることが少なくありません。タバコを吸ったら必ず顔の付近や着衣にタバコの臭いが付着しているものです。
なぜ「禁煙」する必要があるのか、「禁煙」してどうなりたいかを紙に書いて、目に付くところに貼り付けておきましょう。

2.どんなときにタバコが欲しくなるか自分の気持ちと行動を観察する
例えば、朝起きてまず一服。食後に一服とか、休憩時間に一服とか、会議が終わった後とか、缶コーヒーを飲んだとき(缶が灰皿代わりになりやすい)、仕事の合間にとか・・・
ちょっと難しいことのようですが、タバコを吸いたくなるのはどういうときか考えてみましょう。
自分が何かの行動のあとに吸いたい気持ちを意識したり、喫煙行動に駆り立てられていることに気づきます。そして吸うとどういう気持ちになるか観察します。
大抵はタバコを吸うとイライラがやわらいだり、スッキリした感じがします。タバコのお陰で気持ちが落ち着き、仕事に集中できるように感じるのも、ニコチンに依存している証拠です。
ニコチンに気持ちや行動がコントロールされるようになってしまっていることを意識しましょう。
3.喫煙を他の行動に置き換える
次に、タバコが欲しくなるタイミングで喫煙を他の行動に置き換えます。自分の喫煙につながる行動パターンをシミュレーションをしておき、それを他の行動で置き換えたり、避ける行動を考えましょう。
例えば、朝起きて一服したくなったら、まず顔を洗う。食後の一服の代わりに、すぐに歯を磨く。それでもタバコが欲しくなったらガムを噛む、イライラしたら意識的に深呼吸する、(缶)コーヒーをやめて炭酸水やお茶を飲むなどです。
もしこのタイミングで欲しくなったりイライラを感じたらどういう行動をとるかを約束事として決めておきましょう。
良い習慣を身につけるための「if-then plan」というものがあります。
If X happens, then I will do Y. (Xが起こったらYを行う)
“Nine Things Successful People Do Differently”
何かトリガーになるものXが生じたら、Yを行うという対応を決めておくものです。
邦題「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」
Heidi Grant Halvorson
このようた対処を考えておけば、禁煙を継続するのにとても有効だと考えられます。

4.期日を指定して「禁煙宣言」をする
少しずつの減煙は失敗しやすい。
一度にタバコを止めるのは大変と思われるでしょうが、減煙すると一服の重さが大きく感じられ失敗しやすいのも事実です。何より必要なのは、「この日以降は一切吸わない」宣言することです。そうでなければなかなか止めることはできません。
家族の前でまたは会社やSNSなどで、今日から完全禁煙すると「禁煙宣言」をしてください。もし「禁煙宣言」するつもりがなければ、(どこかに逃げ道を作ろうとしている証拠なので)禁煙はなかなか成功しないでしょう。
また、失敗を繰り返すと「自分には出来る」という自己肯定感が低くなり、「どうせ禁煙は出来ない」とか、禁煙をしない理由をいろいろ考えて「おれに禁煙なんか必要ない」とか「禁煙はかえってストレスだ」とか、もっともらしい理由や言い訳を考えて、次の禁煙行動を起こすためのハードルが高くなります。
5.タバコと灰皿・ライターなどを捨てる
禁煙を宣言したら、後戻りしにくいような環境にします。
まず、家の中のタバコとタバコに関連するもの(ライターや灰皿)を廃棄します。もったいないとか思っていたらダメです。
喫煙しにくい環境を作るため、身の回りからタバコとタバコに関連するものすべてを一切排除することです。

6.トリガーになることを意識して避ける
缶コーヒーを買いに行き、いつもの喫煙所に行くなどのパターンや喫煙習慣につながる行為を避けましょう。
外出して飲酒をすると、一服すすめられたり、食後にはまず一服したくなりますよね。
タバコが恋しくなる環境であるアルコールを提供する飲食店やカフェに近づかないことです。
禁煙しようと思う人が、そもそもタバコをまとめ買いしてしまうこと自体、禁煙しようとする気持ちが弱いことを示しています。
ダイエットしたいと常々思っているのに、買い物に行くとお菓子コーナーに足が向いてたくさん買ってしまうのと同じです。買い置きのお菓子があると、ついつい食べてしまいますよね。
タバコの値上げが迫っていたり、消費税が上がる前などはお得だからとカートンで買ったりしてしまいがちです。でも結局手元にたくさんのタバコがあると、吸う量が増えてしまいます。
タバコにすぐにアクセスできないようにする。これはとても大切です。
7.禁煙外来を受診してみる
禁煙を始めてから数日はイライラや集中できないなどの症状を感じやすくなります。ニコチンの禁断症状です。これまで幾度となく禁煙に失敗した人や、これを乗り越える不安が大きい場合ば、ニコチン置換療法の力を借りない手はありません。
今はチャンピックス(薬剤名 バレニクリン)という薬剤が使用できます。禁煙外来のある医療機関を受診することで、医療保険を利用した禁煙支援が受けられます。
禁煙外来の医師は、禁煙に成功した人も失敗した人も数多く診ています。禁煙外来を受診する人は、大抵は禁煙の意思がありながら禁煙に失敗した経験のある人です。医師の言葉で勇気づけられたり、気持ちが前向きになることもあります。
一度相談してみるのも良いかもしれません。

まとめ
禁煙を成功させるための7つのステップ
- 「禁煙する必要性」について強く認識する
- どんなときにタバコが欲しくなるか気持ちと行動を観察する
- 喫煙を他の行動に置き換える
- 期日を指定して「禁煙宣言」をする!
- タバコと灰皿・ライターなどを捨てる
- トリガーになることを意識して避ける
- 禁煙外来を受診する
[…] 別の記事「禁煙を成功させるための7つのステップ」をご参照下さい。 […]
[…] 禁煙に関しては、「禁煙を成功させるための7つのステップ」という記事も参照して下さい。 […]