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マスコミが伝えたくない事実:ポテトチップやフライドポテトの危険性について

potato chips

ポテトチップばかり食べているとがんになりやすい?

ポテトチップやフライドポテトは、コンビニやファストフード店などで簡単に手に入る、みんな大好きな食べ物ですね。

しかし、2002年4月、これらの加工食品には、健康に関する重大な問題が潜んでいることをスウェーデン政府が発表しました。

ポテトなどでんぷん質を多く含むものを焼いたり揚げたりなど高温で調理するとアクリルアミドという物質が生成されるというのです。

その後の研究により、アクリルアミドには発がん性があることが判明して問題になりましたが、私たちの多くはその詳細についてあまり知らされていません。

ここでは、アクリルアミド問題が発覚した経緯、その性質と問題点、私たちができる対処方法について述べたいと思います。

つじ丸

アクリルアミド問題の発端

アクリルアミド中毒事件の発端について、「アクリルアミドと癌:スウェーデンでのトンネル内水漏れが研究のきっかけにAcrylamide and Cancer: Tunnel Leak in Sweden Prompted Studies ) 」に詳しく述べられています:

1997年10月、スウェーデン南西部のビャーレ半島(Bjare peninsula)の住民たちは、牛が突然麻痺して死んだり、飼育池に魚の死骸が浮いているのを発見したりして、心配し始めました。

調査の結果、巨大な鉄道トンネルの作業中の漏水を塞ぐために、1,400トンのシーリング材がトンネルの壁のひび割れに注入され、その過程でシーリングに使用されていた化学物質であるアクリルアミドで水が汚染されていたことが原因でした。トンネル作業員は、アクリルアミド神経毒性によるしびれに苦しんだそうです。

住民はパニックになり、「汚染を恐れて、この地域の牛乳や乳製品は捨てられ、野菜は畑に放置され、牛は屠殺されて焼かれるなど、その後、抗議、訴訟、政府や産業界の幹部の辞任などが相次ぎました。」

トンネル作業員のアクリルアミドへの曝露の研究によって、暴露を受けていない対照群にも一定のアクリルアミド反応生成物が存在することが判明し、アクリルアミドが食物の中から摂取されているという事実が明らかになったのです。

神経毒性だけではなかった:アクリルアミドの “発がん性”

何が問題なのかというと、このアクリルアミドには発がん性があると考えれており、しかも私たちが摂取している食品中に含まれていたからです。

米国がん協会(the American Cancer Society)は、公式な立場を表明していませんが、以下のように権威のある研究機関の意見を引用しています:

  • 国際がん研究機関(IARC)は、アクリルアミドを ”ヒト発がん性物質の可能性が高い (probable human carcinogen)”と分類しています。
  • 米国国家毒性プログラム(NTP)は、アクリルアミドを “ヒト発がん性物質であることが合理的に予想される(reasonably anticipated to be a human carcinogen) “と分類しています。
  • 米国環境保護庁(EPA)は、アクリルアミドを “ヒトに発がん性がある可能性が高い (likely to be carcinogenic to humans)”と分類しています。

厚生労働省は、食品中の汚染物質の情報のなかで、ダイオキシンや水銀、カドミウムと並んで、このアクリルアミドについての情報を提供しています。

その中の記事「加工食品中アクリルアミドに関するQ&A」では国際がん研究機関( IARC )による発がん性分類を引用し

人に対する発がん性の証拠は不十分だが、動物実験における発がん性の証拠は十分にあることから、アクリルアミドは2A(人に対しておそらく発がん性がある)

と分類されていることを示しています。

日本でも国立医薬品食品衛生研究所食品部の研究報告「加工食品中のアクリルアミドの測定・分析及びリスク評価等に関する研究」の中で、発ガン性について以下のように述べられています:

アクリルアミドは、真核生物を用いた殆どの試験系ではin vitro、in vivo試験とも陽性である。特に、染色体異常誘発性、DNA損傷性が明らかなことからアクリルアミドは染色体異常誘発物質(Clastogen)と言える。

クラストーゲン(Clastogen)」とは、遺伝子の突然変異を起こす物質のことで、がんを発症する可能性があることを示しています。

既知のクラストーゲンとしては、これまで発がん物質として知られている、アクリジンイエロー、ベンゼン、エチレンオキサイド、ヒ素、などがあります。

以上から、アクリルアミドが発がん性があると認識されているのは確かなようです。

ポテトチップやフライドポテトは、コンビニなどで簡単に手に入り、手軽で、おいしくて、ついつい食べ過ぎてしまいます。

それ以外にも、日本で芋類や野菜類を高温で調理する食べ物といえば、大学芋、焼き芋、コロッケ、てんぷら、ドーナッツ、等々・・・ どれもこれもおいしいものばかり。

では私たちはどう対処すればいいのでしょうか?

私たちはどう対処すればいいのか

厚労省は、消費者に対してどのような情報提供をしているかというと:

(1) アクリルアミドについての情報を提供するとともに、十分な果実、野菜を含む様々な食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪分が多い食品の過度な摂取を控え、


(2) 炭水化物の多い食品を焼いたり、揚げたりする場合にはあまり長時間、高温で調理しないよう、厚生労働省ホームページ等を用いて、Q&Aなどわかりやすい内容で情報提供する

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/topics/tp021101-1.html

残念ながら、この問題に関心を持って、ホームページで情報にアクセスできない人は放置です。

ポテチやフライドポテトは大手の加工食品会社や外食産業が関係しており、家庭での調理でもアクリルアミドは生成するので、もちろん禁止になどできるわけもなく、これからも大々的に告知されることはないでしょう。

ですから厚労省は厳しい規制や基準の発表をこっそりしているだけであり、マスコミも大々的に報道できません。これは、さらにポテトや炭水化物の加工食品の消費の多い米国でも同じのようです。はやりの健康番組でもあまりおおっぴらに取り扱いたくないタブーのようです。

一方、食品会社も、ポテト類の加工食品中のアクリルアミドを減らす取り組みをしているようです。それでも製造過程で高温調理する以上、ゼロにすることはできないでしょうから、今後の研究が進めば、摂取の上限などが発表され、苦しい立場に追い込まれる可能性はあります。

国民の健康は大切だが、経済活動にマイナスになるような情報は、積極的には流さない。このあたりは、「砂糖」中毒と一緒ですね。

自分と家族の身体を守るためには、真実を知ることは大切です。
では私たちはどのように対処すればいいのでしょうか?

つじ丸

FDAによる指針

アクリルアミドの発がん性については、まだ不明な点も多く、研究中のようですが、米国のFDA(食品医薬品局)は、今の食生活でアクリルアミドのレベルを減らしたいと考えている消費者は、以下の情報を参考にするようにといっています。


アクリルアミドは、植物由来の食品の調理で生成される

アクリルアミドは、主にジャガイモ、穀物製品、コーヒーなどの植物から作られた食品に含まれています。

アクリルアミドは、通常、肉、乳製品、魚介類製品とは関連していません。

アクリルアミドは、蒸す、ゆでるの調理法では発生しない

アクリルアミドは、通常、高熱で調理された植物性食品(例えば、フライ、ロースト、ベーキング)に含まれており、生の植物性食品や、蒸したり茹でたりして調理された食品には含まれていません

じゃがいもは、電子レンジで調理するとアクリルアミドは生成しない

じゃがいもを「揚げる(fry)」、「(直火などで)ローストする(roast)」、「(オーブンなどで)焼く(bake)」を比較すると、「揚げる」時にアクリルアミドの生成が最も高くなります

じゃがいもをバラバラにしてローストするとアクリルアミド生成がより少なくなり(ローストポテト)、次いでじゃがいもを丸ごと(オーブンなどで)焼いたものが続きます。

じゃがいもを茹でたり、皮付きのまま電子レンジでチンして「電子レンジ焼きじゃがいも(microwaved baked potatoes)」を作ってもアクリルアミドは生成されません。

つまり長時間、高温調理しなければアクリルアミドの心配はないということです。

加熱調理する前に15~30分間水に浸しておく

ローストする前に15~30分間水に浸しておくと、調理中のアクリルアミドの生成を抑えることができます。(但し、調理前に水気を切った状態にしておく必要があります)

じゃがいもは冷蔵庫で保管しない

ジャガイモを冷蔵庫で保管すると、アクリルアミドが増加する可能性があります。(注:これは、低温保管によって、アクリルアミド精製の原因となる還元糖に変換される量が増加するからと考えられます)

したがって、ジャガイモは、発芽を防ぐために、冷蔵庫内を避け、クローゼットやパントリーのような暗くて涼しい場所に保管するのが好ましいでしょう。

じゃがいもを茶色になるまで過熱しない

一般的に、調理時間が長くなったり、温度が高くなったりすると、より多くのアクリルアミドが蓄積されます。

冷凍フライドポテトやポテトスライスなど、カットしたジャガイモ製品を茶色になるまで加熱せず、黄金色にとどめることで、アクリルアミドの生成を抑えることができます。

茶色の部分はアクリルアミドが多く含まれている傾向があるからです。

パンを焦げ茶になるまでトーストしない

パンを濃い茶色ではなく、薄い茶色にトーストすることで、アクリルアミドの量を減らすことができます。

焦げ茶色の部分はアクリルアミドを多く含むので避けるべきです。

コーヒーは豆を焙煎するときにアクリルアミドが発生する(現時点で対処方法なし)

アクリルアミドは、家庭やレストランでコーヒーを淹れたときではなく、コーヒー豆を焙煎したときに精製します。これまでのところ、科学者はコーヒー中のアクリルアミドの生成を減らす良い方法を発見していません。

コーヒーは、一日5杯までの摂取であれば、がんを予防する効果も期待されていますが、アクリルアミドを摂取する原因になっているのであれば、飲みすぎないようにしなければなりません。

同じことが、ほうじ茶や焙煎する麦茶などでも考えられます。


いずれにしても、高温で食品を加熱調理する場合、完全にアクリルアミドを排除することは難しいですし、どの程度までなら安全とか、どのような臓器のがんが増えるとかについての研究結果はまだ明らかになっていません。

ポテトチップやフライドポテトは、おいしくて、中毒性があるのは多くの人が経験していることです。

これらは、アクリルアミドの問題だけではなく、トランス脂肪酸など健康に悪影響を及ぼす油脂や、糖質過剰の一因になることなど様々な問題点が指摘されていましたので、できるだけ食べないようにするのがよいと思われます。

いたずらに恐怖心を抱くのではなく、また自分にはどうせ無理だとあきらめるのでもなく、できるだけアクリルアミドを摂取しないような食習慣を身につけたいものです。

また、農水省は、ホームページに「食品中のアクリルアミドに関する情報」として、食品中のアクリルアミドに関する情報を分かりやすく説明しているので、参考にするのも良いでしょう。


結論

  1. アクリルアミドは、発がんの可能性があるとされる物質で、植物性食品(野菜・穀物など)を高温で調理すると発生しやすい。
  2. アクリルアミドの摂取を抑えるためには、炒める、油で揚げる、焼くなどの調理法を避け、ゆでる、蒸す、電子レンジなどの調理法が望ましい。
  3. じゃがいもは冷蔵庫で保管せず、調理の際はカットしてから水にさらし、茶色になるまで調理しない。
  4. パンを焦げ茶色になるまでトーストしない。
  5. コーヒーは飲みすぎない。
  6. ポテトチップやフライドポテトは、習慣的に食べるのはやめる

アクリルアミドの発がん性が疑われている以上、アクリルアミドの含有量の多い食品は摂らないに越したことはありません。できるだけ、アクリルアミドを摂取しにくい調理方法や食習慣を意識しましょう。

《参考文献》

  1. Tom Reynolds, Acrylamide and Cancer: Tunnel Leak in Sweden Prompted Studies, JNCI: Journal of the National Cancer Institute, 94(12) 2002, P876–878, [https://doi.org/10.1093/jnci/94.12.876]
  2. 加工食品中アクリルアミドに関するQ&A”. 厚生労働省. [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/topics/tp021101-1.html](参照 2020-05-05)
  3. 食品中のアクリルアミドに関する情報“. 農林水産省(参照 2020-05-05)
  4. 米谷民雄, 井上達, 菅野純, ほか ”加工食品中のアクリルアミドの測定・分析及びリスク評価等に関する研究” 厚生労働科学研究費補助金総括研究報告書. 2003年4月.
  5. Acrylamide and Cancer Risk“. The American Cancer Society medical and editorial content team. 02/11/2019 [https://www.cancer.org/cancer/cancer-causes/acrylamide.html] (参照 2020-05-05)
  6. Acrylamide and Diet, Food Storage, and Food Preparation“. US Drug and Food Administration. 11/29/2017. [https://www.fda.gov/food/chemicals/acrylamide-and-diet-food-storage-and-food-preparation] (参照 2020-05-05)

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