あなたは大丈夫? — 食事が関係する認知症リスク
認知症は、高齢になってから注意すべきもの考えていませんか?
実は、認知症は歳を取ってから突然発症するという性質のものではないのです。
30代〜40代からの食生活や生活習慣による脳の老化が積もり積もって、長い潜伏期を経て発症するものだと考えられています。
日本人の食事における欧米化や食事の偏りは、日本人に増加傾向の認知症や生活習慣病と無関係ではありません。
欧米の研究で生活習慣病を防ぐ地中海ダイエットと高血圧予防のためのDASHダイエットがいずれもいずれも認知症を防ぐ効果が期待できることが明らかになりました。
この2つのダイエットを組み合わせたいいとこ取りの食事法がマインド食(MIND diet)です。
この記事を読めば、マインド食の15項目内容とそれが認知症予防にどのようにかかわっているのかを理解することができ、「生活習慣病と認知症を予防するために心がけるべき食行動」がわかります。
増え続ける日本の認知症
日本の認知症高齢者のこわい現状についてお話します。
厚生労働省の統計「認知症高齢者の現状(平成22年)」によれば、2012年の認知症の高齢者の数は439万人であり、認知症の患者は年々増加の傾向で、65歳以上の人口の7人に1人と推計されています。
2020年の65歳以上の人口の6人に1人が認知症(有病率18%)と推定されており、糖尿病の増加によりこのまま各年齢層の有病率が上昇すると、高齢者の中の認知症の割合は、2025年には5人に1人、2040年には4人に1人、2060年には3人に1人まで増えるという推計があるのです(資料「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」より)。
しかし、どのような食事や行動が認知症の予防や発症遅延に効果があるかなど、予防方法については確立されていないとして、具体策を示していません。
欧米でも認知症の増加は大きな社会問題となっており、米国ではどのような食事が認知症予防に有効かの研究結果が発表されています。
そして、食事などの生活習慣を改善することで認知症を認知予防したり発症を先送りできることが分かり,欧米ではその割合は減少傾向にあります。
ここではまず、認知症リスクを下げる食事「マインド食」(MIND diet)についてご紹介します。
マインド食(MIND diet)とは
シカゴのRush大学の研究チームは、マインド食がアルツハイマー型認知症の予防に役立つことを示しました(1)。
マインド食とは、 Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay の略(MIND Diet)で、
- 肥満・糖尿病などの生活習慣病のリスクを低下させることが知られる〝地中海ダイエット(Mediterranean-diet)〟
- 高血圧予防のための〝DASHダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension diet)〟
を組み合わせたダイエットです。
もともと地中海ダイエットもDASHダイエットも高血圧や心臓病、脳卒中などの心血管疾患のリスクを減らすことがわかっています。
面白いことに、2つのダイエットはどちらも認知症に対する予防効果があるらしいことがわかり、研究者は両者に共通する項目を中心に15項目にわたる食事内容とアルツハイマー病の発症との関係について調べることにしました。
このマインド食の15項目とは、脳に良い食品群10品目と、脳の健康に良くない食品群5品目です。
この研究で算出されたマインド食のスコアは、この15項目の摂取の頻度などから、「0点・0.5点・1点」の点数をつけ、その合計から計算されます。
研究者は、年齢58~98歳の923人の参加者を対象に、15項目を比較的厳密に守ったグループと、あまり守れなかったグループ、中間的なグループの3つにに分けて、平均4.5年間追跡調査し認知症の発症について分析しました。
その結果、マインド食の食事療法のスコアの高いグループ(平均9.6点)では 、スコアの低いグループ(平均5.6点)と比べてアルツハイマー型認知症のリスクを53%低下させたことが示されました。
また、中間的なグループ(平均7.5点)であっても、認知症リスクが35%減少したのです。
このデータは、米国人を対象に行われた調査ですが、日本人の食生活も欧米化しており、年々認知症患者が増加していることを考慮すると、参考にしてもよいと思われます。
脳に良いもの(10)悪いもの(5)をそれぞれを示し、認知症との関係について解説します。
マインド食の15項目
- 緑の葉野菜(green leafy vegetables)
- その他の野菜(other vegetables)
- ナッツ類(nuts)
- ベリー類(berries)
- 豆類(beans)
- 全粒穀物(whole grains)
- 魚類(fish)
- 鶏肉(poultry)
- オリーブオイル(olive oil)
- ワイン(wine)
- 赤身の肉類(red meats)
- バターとスティックマーガリン(butter and stick margarine)
- チーズ(cheese)
- デニッシュ類やスイーツ(pastries and sweets)
- 揚げ物/ファーストフード(fried/fast food)

脳の健康に良い10の食品
1.緑の葉野菜(green leafy vegetables)
緑色の葉野菜は認知症予防に重要な「葉酸」の主な供給源です。
葉酸は、ホモシステインを代謝して、システインやメチオニンに変換するのを助けます。
ホモシステインは動脈硬化を促進したり脳の神経細胞をにダメージを与えるため、ホモシステインの代謝がうまくいかないと、認知症のリスクが上昇するのです。
モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草などは多くの葉酸を含んでいます。毎日の食事にできるだけ緑色の葉野菜を取り入れましょう。

2.その他の野菜(other vegetables)
紫、赤、黄、白など緑色葉野菜以外の野菜は、アントシアニン、カロテノイドなどの抗酸化物質や、 ビタミンE、Cなどの栄養素が豊富です。
ピーマン、紫キャベツ、紫タマネギ、パプリカ、カボチャ、トマトなど色とりどりの野菜を取り入れましょう。

3.ナッツ類(nuts)
ナッツ類はビタミンEやミネラル、食物線維が豊富です。
特に、クルミは、抗炎症作用のあるω-3系の脂肪酸であるαリノレン酸を多く含みます。また、アーモンドの皮には抗酸化作用・老化防止作用の期待ができるポリフェノールが豊富です。
ナッツ類はローストするとアクリルアミドが増えるため、できれば生で食べたほうがベターです。
かりっとした食感が欲しい方は、130度未満の低温でローストして、乾燥剤と一緒に密閉した瓶に入れて保管すると良いでしょう。

4.ベリー類(berries)
ベリー類とは、ブルーベリー、ブラックベリー、クランベリー、ラズベリーなどです。
ポリフェノールの一種であるアントシアニンをはじめとする抗酸化物質を含み、アルツハイマー型認知症の脳に認められるβアミロイドの沈着を防止する働きがあるといいます。
また、ビタミンE、Cをはじめとする各種ビタミン、水溶性食物線維が豊富で、心臓疾患やがんを予防する効果も期待されている、今注目のフルーツです。
いずれも甘くて美味しいというよりも、酸っぱさや独特の食感を感じることが多いかもしれません。
しかし、砂糖やシロップでジャムや缶詰めなどに甘く加工されたものは避けたほうが賢明です。

5.豆類(beans)
豆類には多くのタンパク質、食物線維、ミネラルなどが豊富に含まれています。
大豆製品やイソフラボンの摂取は、特に女性において認知症の予防効果が期待できるとの研究があります。そして前述の葉酸も多く含まれています。
食物線維の摂取は、血糖の急激な上昇を抑え、認知症を予防する効果があるといわれています《参照:「食物線維を上手に摂るには」》。
そういう意味では、大豆は豆腐や豆乳としてだけの摂り方よりも、納豆や枝豆、蒸し豆などとして丸ごと食べるほうがより健康効果が期待できそうですね。

6.全粒穀物(whole grains)
全粒穀物は精製した小麦粉や白米と異なり、多くの食物線維を含んでいます。
食物線維は、血糖の上昇を抑え、悪玉コレステロールや中性脂肪、血圧を下げる働きが確認されており、結果として糖尿病や心血管疾患のリスクを低下させることが期待できます。
食物線維の乏しい精製された白米や小麦製品にはほとんど食物線維が含まれていません。
白ごはんやパン食はできるだけ避け、麦ご飯やオートミール食にするのが健康的です《参照:「知らないとこわい!パン食がお勧めできない7つの理由」》。
食物線維の効果的な摂り方については、別の記事「食物線維を上手に摂るには」も参考にしてください。

7.魚類(fish)
魚類の中でも、アジ、サバ、イワシなどの青魚には、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)など、炎症を抑えたり脂質代謝を改善し動脈硬化を予防する働きのある必須脂肪酸が含まれています。
これらは、神経細胞の膜に取り込まれ機能低下を防ぐともいわれ、動脈硬化の原因となる高脂血症を改善することが知られています。
また、DHAの血中濃度の高い人は、10年後の認知症のリスクが低いという研究データもあります(2)。

8.鶏肉(poultry)
鶏肉、特に鶏胸肉は、イミダゾールジペプチドという抗酸化作用・抗炎症作用を持つジペプチドが多く含まれています。
このジペプチドには、認知症モデルマウスの記憶力低下を予防したり、高齢者(ヒト)の脳血流の増加と記憶能力を改善する効果が認められています。
また、鶏胸肉に多く含まれるプラズマローゲンというリン脂質は、アルツハイマー型認知症の脳細胞や血液中で減少しており、これを補うことで記憶能力の向上、認知機能の向上が期待されるという研究結果もあります。

9.オリーブオイル(olive oil)
オリーブオイルには、オレオカンタールという成分が含まれています。
このオレオカンタールは、アルツハイマー型認知症の一因といわれる脳へのアミロイドβタンパクの沈着を予防する効果があると言われています。
注意すべきは、ここでいうオリーブオイルとは、「エクストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)」のことです。つまり、オリーブの実を摘んですぐに絞って瓶詰めしたもの。
有機溶媒で抽出したり、脱臭精製したものが安価で市販されていますが、これら酸度が高く質の劣化したものが多く、有効成分が除去されるなどして折角の健康効果を期待できません。
日本におけるエクストラヴァージンオリーブオイルの表記方法は基準が甘いので、注意が必要です。多少高くても良質のものを加熱せず生で摂るのがポイントです。

10.ワイン(wine)
赤ワインはブドウに由来するポリフェノールが豊富であり、その抗酸化作用が認知症予防に効果があるのではないかといわれています。
その中でもレスベラトロールは、赤ワインに多く含まれ、長寿遺伝子として知られるサーチュイン遺伝子を活性化するという説もあり、寿命の延長に寄与している可能性があります。
しかし、アルコールの飲み過ぎは脳の萎縮を来たし、逆に認知症のリスクが挙がる危険性があるため、依存症にならない程度の適度な量にとどめる様にしましょう。

アルコールとしての適量は、ワイン1.5杯(180mL程度)までが上限です《適量のアルコールと簡単な算出方法》。

これら10の脳に良い食べ物に共通するキーワードは、以下に示す項目になりました。
- 食物線維(全粒穀物、野菜、ナッツなど)
- ポリフェノール等の抗酸化物質(彩り野菜、ベリー類、ブドウなどの皮、ナッツの皮)
- 良質の脂質(魚油、エクストラバージンオリーブオイル)
- 豊富なタンパク質(鶏肉、豆類)
現代人に不足しがちな「食物線維」を野菜や穀物の中から摂る、そして良質な脂質とタンパク質を選んで食べること、果物の中でもポリフェノールの多い、甘くないフルーツを選ぶことが大切なんですね。
次は、脳の健康に良くないと思われる5品目についてです。
脳の健康に良くない5つの食品
1.赤身の肉類(red meats)
赤身肉やその加工品であるベーコン、ハム・ソーセージなどを摂取する習慣や過剰な摂取は、心血管疾患・2型糖尿病・がんのリスクを上昇させるといわれています。
直接的な影響に関してはまだまだ不明な部分が多いのですが、赤身肉に多く含まれるヘム鉄の過剰摂取は、認知機能の低下につながるという研究もあります。
また赤身の肉の動物性脂肪には、飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸は、動脈硬化を促進するLDLコレステロールを増加させる働きがあります。
取り過ぎると虚血性心臓病や頚動脈狭窄、などの心臓や血管の病気の発症リスクが高まるのです。
豚肉、牛肉を減らし、ベーコン、ハムなどの加工肉を避け、鶏肉や魚に置き換えましょう。

2.バターとスティックマーガリン(butter and stick margarine)
バターは常温で個体になりやすい飽和脂肪酸を多く含み、以前から虚血性心臓病のリスクが上昇するといわれています。一方で、脳血管障害に関しては逆にプラスに働くというデータもあります。
マーガリンは常温で液体の食用植物油に水素を付加して使いやすくしたもので、スティックマーガリンはバターのようにスティック状に加工され、トーストに塗ったり、ナイフで切ったりして調理に使用しやすくなっています。
その製造過程でトランス脂肪酸が増えるのですが、これは心臓血管病のリスクを上昇させるのが明らかになっため、WHOがその摂取量を総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧告しています。
虚血性臓病や動脈硬化性の変化が起こると、心臓やアテローム由来の血栓のリスクがあがり、脳梗塞のリスクも上昇します。その結果、脳血管性認知症のリスクも上昇する可能性があります。
トランス脂肪酸がアルツハイマー型認知症の発症にどのように関与しているかは不明ですが、日本の福岡県久山町の観察研究では、血液中のトランス脂肪酸が多いグループは最も少ないグループと比較して認知症の発症リスクが1.5倍であったことが示されています(2)。

3.チーズ(cheese)
チーズは牛乳の栄養成分が凝縮したものです。主な成分は、蛋白質と乳脂肪でそれぞれ約4分の1、残りは水分・ミネラルと極く少量の炭水化物です。
バターほどではないですが、乳脂肪が多く含まれているため、摂りすぎると不飽和脂肪酸をたくさん摂取することになります。

4.デニッシュ類やスイーツ(pastries and sweets)
Pastries(ペイストリー)は、小麦粉などにバターやショートニング、マーガリンなどの油脂を加えて焼いたもので、デニッシュやクロワッサンなどのパン類や、パイ生地、タルトの土台などがそれにあたります。
脂肪分が多い焼き菓子ですので、上記の[2]バターとスティックマーガリン と同様の影響が考えられますね。
しかし、[2]と分けられている本当の意味は、糖質の過剰摂取といえます。スイーツ(sweets)は、糖分の多い甘い菓子類全般を指します。
また、食後の高血糖、高インスリン血症をきたしやすく、おなかが空きやすいので肥満につながる食行動に結びつきます。
高血糖はインスリン抵抗性を悪化させ、その結果、アルツハイマー型認知症の原因と疑われるアミロイドβの脳への沈着が増加します。
実際、2型糖尿病の患者さんは、アルツハイマー型認知症のリスクが1.5倍、脳血管性認知症のリスクが2.5倍になるというデータがあります。
脂と糖の組み合わせは、習慣性、依存性が強くなりやすいから危険です。
高脂血症、心血管疾患、脳卒中のリスクを上昇させ、死亡に至らなくてもゆっくりと認知症に向かって脳の老化が進行していくのです。

5.揚げ物/ファストフード(fried/fast food)
揚げ物(fried)やファストフード(fast food)に使用されている主な油がサラダ油です。
多くは安価なキャノーラ油(なたね油の一種)であり、主成分はオレイン(ω-9系)酸とリノール酸(ω-6)で、少量ながらαリノレン酸(ω-3系)も含まれています。
キャノーラ油は、カナダで開発された「キャノーラ種」を原料にしており、従来のなたね油と比較して、不飽和脂肪酸のエルカ酸が少ないサラッとした油で、一般には心臓病リスク対して安全という印象があります。
しかし、リノール酸はω-6系不飽和脂肪酸の一種で、揚げるなどの高温で加熱調理するとヒドロキシノネナールという酸化物が発生します。これは、体内に入ると神経細胞にダメージを与え、神経細胞が死に至るというのです。
しかも健康効果が高いとされるαリノレン酸(ω-3系)は熱に弱いため、高温調理で変性し失われてしまいます。
スナック菓子やハンバーガー、ポテトフライなどはまさに安価なサラダ油で高温調理されているため、揚げ物やファストフードばかり食べていると、ヒドロキシノネナールをせっせと取り込んで、神経細胞の障害が蓄積していく危険性があるのです。

以上から、脳の健康にとって好ましくない食品に共通するのは以下の通りです
- 不飽和脂肪酸とトランス脂肪酸(赤身肉、バターやマーガリン)
- 糖質と油の加工食品(揚げ物、スイーツ)
- 高脂肪乳製品・赤身肉(チーズ、牛肉・豚肉)

マインド食を日本人の食生活に活かす
マインド食は欧米人の食生活を中心に研究された内容です。
ですから、これをそのまま日本人には当てはめにくいところがあります。
例えば、日本人にはワインを毎日飲む習慣のある人は少ないと思われます。
前述の通り、アルコールの摂り過ぎは、脳の萎縮をきたすリスクがあるため、たとえポリフェノール豊富な赤ワインであっても飲み過ぎはかえって認知症リスクを高めてしまいます。
また、チーズをはじめとする乳製品に関しては、日本では相反するデータが出ています。
九州大学による久山町研究では、牛乳や乳製品の摂取量が多いほど、アルツハイマー型認知症の発症リスクが低下するというものです(3)。
また、カマンベールチーズには、アルツハイマー型認知症のリスクを低下させる効果があるという結果が、マウスを用いたや研究や高齢女性に対する介入試験で認められています。
もともと摂取量の少ない日本人ならば、あまり気にしないでも良いのかもしれません。
マインド食の研究結果は、アンケート調査に基づいたデータであり、持続的にどのような食事が摂られていたかを詳細に追跡されたものではありません。
しかし、どのような嗜好や食事のパターンが認知症のリスクを高めるかははっきり示していると思われます。

日本人のための認知症を防ぐ食行動
日本人として、認知症になるリスクを高めないようにするために、このマインド食をどう活かすか、それぞれ自分の食生活と照らしてどう行動を変えるか考えてみる必要があります。
前述の通り、マインド食は、もともと肥満・糖尿病などの生活習慣病や高血圧リスクを下げるための食事が元になっていますが、認知症の予防に効果のあることがこの研究で分かりました。
つまり、生活習慣病が認知症発症のリスクを高めるとも言えますし、マインド食で生活習慣病の予防効果も期待できるということです。
マインド食を参考に、日本人が生活習慣病と認知症を予防するために心がけるとよい食行動をまとめてみました。
- 赤身肉や加工肉を減らして魚や鶏肉に置き換える
- 揚げ物やマーガリン・バターなどの油を控え、魚油(ω-3系不飽和脂肪酸)やエクストラバージンオリーブオイルなどの良質の油を生で摂る
- 菓子パンやスイーツ、ファストフードを避け、間食はナッツ類で代用する
- 緑黄色野菜、豆類、ベリー類を食事に取り入れる
- 白米・小麦など精製された炭水化物ではなく、大麦などの食物線維豊富な穀類を積極的に摂る
- 昔ながらの日本食を見直す(麦ご飯、納豆、みそ汁、刺し身や煮魚など)
完璧なマインド食を実践すべきだとは言いませんが、これらをもとに自分や家族の食事を意識して見直してみてはいかがでしょうか。
これらを実際の食事に取り入れれば、2型糖尿病、肥満、高血圧、心臓血管疾患、高脂血症などの生活習慣病にとどまらず、認知症やがんの発症リスクを下げる効果が期待できるでしょう。
マインド食のスコアで示された食品摂取の頻度
参考までに文献で示された食品摂取の頻度と点数を示しておきます。
項目 | 頻度 | 点数 |
緑色野菜 | 週に6回以上 | 1 |
その他の野菜 | 1日1回以上 | 1 |
ナッツ類 | 週に5回以上 | 1 |
ベリー類 | 週に2回以上 | 1 |
豆類 | 週に4回以上 | 1 |
全粒穀物 | 1日3回以上 | 1 |
魚 | 週に1回以上 | 1 |
鳥肉 | 週に2回以上 | 1 |
オリーブオイル | 基本の油にしている | 1 |
ワイン | 1日1回 | 1 |
赤身肉と加工品 | 週に4回未満 | 1 |
バター、マーガリン | 1日大さじ1杯未満 | 1 |
チーズ | 週1回未満 | 1 |
デニッシュ、スイーツ | 週5回未満 | 1 |
揚げ物、ファストフード | 週1回未満 | 1 |
(合計点) | 15 |
これらの頻度は認知症を防ぐための指針ではないので、厳密に守るべき物ではないと思われます。参考程度にとどめておきましょう。
《参考文献》
- Morris MC, et al.〝MIND Diet Associated with Reduced Incidence of Alzheimer’s Disease〟Alzheimers Dement. 2015, 11(9): 1007–1014.
- Otsuka R, et al. “Serum docosahexaenoic and eicosapentaenoic acid and risk of cognitive decline over 10 years among elderly Japanese“: Eur J Clin Nutr. 2014; 68(4): 503–509.
- Ozawa M, et al. “Milk and Dairy Consumption and Risk of Dementia in an Elderly Japanese Population“: The Hisayama Study” J Am Geriatr Soc. 2014, 62(7): 1224-1230.